ここでは竹星の作る房州うちわの製作工程についてご紹介します。房州うちわは大変手の込んだ作業を経て作り上げられ、丈夫で見た目も美しい工芸品です。一本の竹から作られるため、うちわ作りの中でも工程が多く、高度な技術を要し細かな作業を含めると30を超える工程にも及びます。

Ⅰ 素材準備

晩秋から冬にかけて竹伐りを行います。太さや素性、節間を見て曲がりや傷が有るものは使えないため1本の女竹からとれるうちわの本数は平均1~2本。皮や節を綺麗に掃除しもみ殻で洗ってから天日干しをして乾燥させます。その間に割れる竹もあるため、伐り出してきたもの全てが素材になるわけではありません。厳選され残った良いものだけが製品になります。

竹伐り

乾燥して水分が少なくなった時期(晩秋から冬)に伐採を行います。

選別 1

節間を見て曲がりや傷が有るもの等、製品に適さないものは避けておきます

切り出し

使用する部分を切り出します

皮むき

皮をむき、節を掃除します

洗い

もみ殻で洗うことで竹に艶を与え、鮮やかな緑色へ。​このひと手間が製品にしたときに、まったく違う仕上がりになります。

干し・選別 2

天日干しをして乾燥させます。その間に割れる竹もありますので、更に選別します。

Ⅱ 骨作り・仕込み

割る前に乾燥させた竹を一晩水につけ水分を戻すことで柔らかく割りやすくします。割り方は大きさや貼る素材によって少しずつ変えていきます。糸で編むための下準備として面取りなどの目に見えない作業を経て一本一本糸で編んでいきます。

水つけ

一度乾燥させた竹を割りやすくするために、一旦水につけて、柔らかくします。                   

割竹 1

まずは大きくナタで割っていきます。                   

割竹 2

徐々に細くしていきます。自分が一番好きな工程です。

割竹 3

作るうちわの種類や大きさなどで最終的な本数を決めます。

割竹 4

一通り割竹が終わりました。

もみ

石の上で転がして細かなバリを取ります。

穴あけ

「弓」を通すための穴を空けます。

穴あけ後

穴空け後の骨です。

柄切り

持ち柄の先端を切り落とします。

柄詰

切った柄の先端へ柳の枝を挿し入れます。

柄詰後

余分な部分を切り落としました。

下塗り

胡粉と膠(にかわ)で下塗りを施します。

上塗り

カシュー塗料で色付けの上塗りをします。

Ⅲ 骨作り・形成

真竹で削り出す弓はうちわのサイズに合わせて太さや長さを変えて作るうちわの大きさに合わせています。弓を穴に通して糸を張り、形を作っていきます。窓作りで形が決まるためしっかり丁寧に工程をこなしていくことが重要です。

編竹

割いた骨を一本一本糸で編んでいきます。丸竹から平面にしていくため,横から見ると立ち上がり部分に空間ができ、立体的になっていきます。

弓削・弓通し

真竹を切り出して作った弓を穴へ差し込みます。

下窓

窓作りの準備の工程です。

本窓

うちわの窓部分(写真では指で押さえているところ)を作っていきます。

目拾い

目拾いを行っているところです

穂刈り

弧を描く様、余分な骨を切り落とします。

焼き

適度に加熱してしつけをします。

骨の完成

骨が出来上がりました。

Ⅳ 貼り

うちわの顔である紙を貼る工程です。貼りは他の工房へ委託しているところもありますが、竹星では自社工房で作業を行います。竹の癖を見極め、個性が無かったかのようになるべく均等に広がるように骨を広げていきます。気候や環境によっても仕上がりが変わってくるため、繊細な調整が必要になってきます。糊が乾くまでに仕上げるスピードも大切です。

貼り 1

貼り台に糊を塗り敷きます。                

貼り 2

骨を置き、両面にまんべんなく糊がつくようにします。

貼り 3

貼り紙の上に骨を置きます。

貼り 4

糊が乾く前に、骨の間隔をバランスよく整えます。

貼り 5

反対側の面も貼り付けます。

貼り 6

写真のように吊るして乾燥させます。

Ⅴ ヘリ付 仕上げ

貼ったものが完全に乾いてから骨を一本一本なぞって浮きだたせていくことにより、貼った柄には遠近感が出てきます。仕上げに裁断した切り口を塞ぐように細く切った和紙で蓋をしていきます。ヘリ和紙の色味でうちわの雰囲気も変わりますし、輪郭をしっかりすることで風もしっかり起こせます。

筋引き 1

自作の専用治具の先に水をつけているところです。           

筋引き 2

骨に沿って治具で凹凸をつけていきます。                    

筋引き後

骨に沿ってきれいに陰影が出ています。

断裁

外周の余分な部分を切り落とします。

ヘリ付

裁断した切り口を塞ぐように細く切った和紙で蓋をします。ヘリ和紙の色味でうちわの雰囲気も変わりますし、輪郭をしっかりすることで風もしっかり起こせます。

完成

細部確認をして完成となります。

You Tubeで「竹星」代表と製作過程のご紹介をさせていただいております。是非ご覧ください。

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